ドイツ人に学ぶ成果主義、生産性向上(アサインメントと年次評価制度)

日本は現在、先進国で最低レベルの生産性です。対してドイツは先進国でトップレベルの生産性を誇ります。

日本の生産性:38.2ドル /h (一人当たりGDP 32,479ドル/ 年間労働時間 1,719h)
ドイツの生産性:60.2ドル/h (一人当たりGDP 40,952ドル/ 年間労働時間 1,371h)

なかなか衝撃的ですね。日本人はドイツ人より労働時間が長く、成果は低いわけです。

ドイツの生産性が高い理由の一つに、成果主義の年次評価制度があると思います。私の年次評価もドイツ基準ベースで行われていますので、それらの基準について紹介してみます。

ジョブディスクリプション

外資系企業には、「ジョブディスクリプション」(JD)なるものが存在しそれによって人事評価が決定します

ジョブディスクリプションにはアサインメントを記入します。
アサインメントとはその人がやるべき業務、および目標のことです。

例えば

数値目標
アサインメントA
品質向上
顧客不良
3件以下
アサインメントB
社内ロス低減
売上比1%以下
アサインメントC
新製品立ち上げ
期限遵守率
100%


比重と達成度を%で記入して、その合計スコアがそのままその年度の評価となります。

例えば年初に以下のように目標を記入したとします。(比重は必ず合計で100となるようにします)

比重
アサインメントA50
アサインメントB30
アサインメントC20

そして年末に達成度が以下の通りだったとします。

達成度
アサインメントA80%
アサインメントB100%
アサインメントC90%

比重 X 達成度で個別スコアを計算します。

比重達成度個別スコア
アサインメントA5080%40
アサインメントB30100%30
アサインメントC2090%18

合計スコアは88となります。達成度は、上司との調整面談(1 on 1)で多少上下します。

仮にベースのボーナス額が50万円だったとすると、来年度のボーナスは50 X 88%で44万円になります。

そのため、アサインメントに記入した以外の業務をやっても、個別人事評価には一切関係ありません。
その結果、アサインメントの成果に集中し、それ以外の業務はやらないという文化が成立しています。

担当ではない人に何か頼み事をしても、「それは私のアサインメントではないので、やりません」というのが普通になっています。

目標は数値で明確にする

上記アサインメントを記入するにあたり、「達成度をどう評価するか」が重要だとわかると思います。ですので、記入する個人目標は、必ず数値目標で記入します。SMARTの原則ですね。

Specific(具体的に)
Measurable(測定可能な)
Achievable(達成可能な)
Related(経営目標に関連した)
Time-bound(時間制約がある)

生産性向上 → OEE前年比 105%
業務効率改善 → ITツール活用による労働時間100h相当削減
品質管理手法のグローバル化 → XXというツールをアジアYYカ国に展開、運用開始する

目標は徹底的に定量化します。特にS(具体的)とM(測定可能)が重要でしょう。これらが定義されていないと達成度も測れません。

最低限要求を満たすアウトプットで業務完了

ドイツ人は、日本人感覚50%くらいの出来栄えで最終版として資料を配布してきます。
それがアサインメントを満たしているのであれば、それで十分なのです。

仕事は引き算を考えています。過剰品質にしない。それは不可欠なものか?不可欠でないものを削れないか?どこまでにどのレベルの完成度かほしいのか?Why When Whatを徹底追求します。

上司からの緊急の依頼だろうと関係ありません。自分のアサインメントだと納得しない限りは取り掛かりません。
その仕事をやらないと最終的に困るのは誰か?その人が責任者となるべき、という認識を持っています。このあたりはアドラーの「課題の分離」にも通じるものがありますね。

以上、ドイツ人から学ぶ成果主義でした。

ちなみにZakkyの勤務先は元々は日本企業で、M&Aでドイツ系企業になったため、まだまだ社内には日本文化が残っています。

日本の仕事の進め方とドイツの成果主義のいいとこ取りしていけるようになっていけると良いですね。